涙は眼のボディーガード
2004年5月号
涙は「基礎分泌」と「反応分泌」と呼ばれるものに分かれることをご存知ですか。悲しい時や嬉しい時、痛みを感じた時にあふれ出る涙が「反応分泌」です。「基礎分泌」は、常に眼の表面を潤し、私達の眼を守ってくれています。
通常、涙は上まぶたの外側辺りにある「涙腺」から分泌され、眼の表面を潤します。約10%は蒸発し、残りの90%の涙は眼の鼻側にある「涙点」→「涙小管」→「鼻涙管」を通って、最終的には「鼻腔」へ流れ出ます。
その涙の働きには次のようなものがあります。
- 絶えず眼に水分を供給し、乾燥を防ぐ。
- 眼に酸素と栄養分を供給(角膜は血管のない組織のため、涙からの供給は不可欠)
- 網膜上に鮮明な像を結べるように、角膜上滑らかに保つ。
- 細菌などの侵入や感染を防ぐ。
涙は「油膜」「水膜」「ムチン層」の3つの層からなっています。「油層」は、薄い膜を張って涙の蒸発を防ぎ、眼の表面と接している「ムチン層」は、粘性の高いタンパク質でできていて、涙を流れ落ちにくくするといった粘着剤の役目をしています。その2つの層に挟まれているのが涙の98%を占める「水層」です。この3つの層を形成することで、涙を有効に働かせるというわけです。
眠くなると眼をこするのは、脳が休むサインを出し、涙の分泌が低下し、涙の量が減り、眼が乾き始めるため、そこで眼をこすることで、刺激を与え涙の分泌を増やそうとしているのです。
何気ない涙は、実は眼の重要なボディーガードだったということですね。